心の片隅に残るひと。 〜 横道世之介〜

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1980年代を舞台に、
長崎から上京してきたお人よしの主人公の青年と周囲の人々のエピソードが
描かれる爽やかな秀作映画「横道世之介」。
2013年のマイベスト映画だ。
こちら、映画もいいが原作からしてもう、すばらしい。


この作品を見たとき、読んだとき、
小学生のときの、鮮明に記憶に残るワンシーンを思い出した。

じぶんは運動も音楽も学校の催しものにはほとんど参加するような
中途半端に「そつのない」人で、
つまりは、あんま面白い人間じゃなかったって思う。

友達と遊ぶのが好きで、男子のことはそんなに気にも留めてなかった。
だからあんまり、誰がいたとか、覚えてない。
最悪なことに、女子でさえあんまり覚えていない。という希薄ぶりだ。これはひどい。

それなのに、強烈に覚えてる顔がある。
田舎にはめずらしく、中学受験をしてる秀才であり、
もじゃもじゃ頭で分厚いメガネをかけ、その奥から大きな瞳がさらに大きくのぞいてる、
そんな Aくんだ。
頭がよすぎるからか、ふとした瞬間に「どっから湧いてきたの?」という
突拍子もない返答がかえってきたり、
笑いのツボからずれて、がはがはと笑う。

なんだか、きもちよーく笑う。はつらつと声高々に話する。
ほんまはおまえ、頭わるいんとちゃう?なんて言われちゃう。
ときどき、分厚いメガネを取られて、いじられる。けど、ガハガハ笑ってる。
これはもう、天性のものだ。そんな彼が人間として「いいわあ」と
子供ながらにおもってた。

卒業してまもないころ。
とある道を歩いてると、向こうから叫び声がきこえてきた。
「●●さ〜〜ん!!!」
Aくんが、ちぎれそうなほど手をぶんぶんふって、私の名前を呼んでた。
目が、声が異様におっきいから、Aくんだってわかった。
こっちも彼の勢いにつられてぶんぶん手をふりまわし
「Aく〜〜ん!!」と叫んだ。
「まだ東京にはいかないの〜〜!!?」
「いってくるよ〜〜! ●さんもがんばって〜〜!!」

やっぱりかみあってないけど、心暖かくなった瞬間だ。


*****************************

横道世之介をみると、そんなほっこりした気持ちを思い出す。
横道のことを主人公の元彼女、祥子(良高ちゃん)が思い出したとき、
「なんか普通の人」というように、これという素晴らしさはないのに
人間を惹きつける魅力がにじみでている。思い出すとつい、笑顔になってしまう。

そんな人間は普通そうで、まったく普通じゃなくて貴重だ。
心に残るシーンをつくるのはこんな人なんだとおもう。

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こちら、吉田修一原作、映画監督は「南極料理人」「キツツキと雨」の沖田修一さん。
主演のふたり、高良健吾くんと吉高由里子さんは原作のイメージをうまく再現していたとおもう。

沖田さんは最近で一押しの監督。
この映画は彼が初めて原作小説(南極料理人はエッセイ)ありきで撮影した映画である。
もし、この映画を観て、気に入ったら、ぜひ彼の独特の笑いとゆるいテンポにのった映画たちを堪能してほしいな。


Fin.
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by kumatta30 | 2014-02-25 17:31 | Movie&Books


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